デンマークの女性の自立

「平等」について考えたときもそうでしたが、人間にとってやはり「既得権益」はおいしいものです。「平等」はいいものですが、いざ皆平等になってしまって既得権益が消えてしまうと、いささか支障をきたします。「男女同権」を考えるうえでも、それは当てはまるような気がします。一見、聞こえのいい「男女同権」ですが、実際に男女が同権になる、ということはどういうことでしょうか。

これまで男性が独り占めしていた社会的な「既得権益」を女性も享受できるようになる、というのは「男女同権」の一つ。例えば、選挙権。

一方で、これまで女性が負う必要のなかった責任を、女性自身が負わねばならなくなります。例えば、経済力。

ンマークなど北欧の女性には経済力があります。これは女性の教育度向上によるものというより、社会福祉が充実していて、男女の性差なく最低限の生活が保障されている、という仕組みによるところが大きいと思います。

つまり、「専業主婦」という存在がないのです。就労していなくて家庭にいる女性でも、失業手当や生活手当を受け取ることができます。旦那さんの収入に頼ることなく、最低限は自立できるのです。100%対等というわけにいかなくても、生活費を払う、家賃の一部を払うなど、奥さんもあくまでも独立した経済主体としてふるまいます。

ンマークでは女性が仕事をすることは極めて一般的ですので、その場合、経済的な自立はより一層強固なものとなります。結婚していても、銀行口座はそれぞれに持ち、生活費は二人の共通の口座から支払ったりします。共通口座への振込額は、二人で折半する場合もありますし、男女で収入に差がある場合はそれに応じて比率を決めたりします。結婚していても、アパートなど不動産の所有は、基本的に個人という人も多いようです。私の知っているカップルは、男性がアパートを所有していて、主たるローン借入れ人です。一緒に住んでいる奥さんは、毎月、ローン返済額の30%程度を家賃として彼に払っています。まるでルームメートのようです。外食時に、どちらかが支払いをしてくれたら、「こんばんは、おごってくれてありがとう」という感覚です。結婚していてもまるで、デートのようです。ここまでくると、ほとんど対等な経済関係です。

日本でもDINKSだったり、女性が高額所得者だったりすると、このような生活スタイルになるのでしょうか。私の母は専業主婦だったので、結婚しても自立している女性というのが、ちょっと不思議です。

よく、デンマークで離婚率が高いのは、女性の経済的自立のためだと言われます。結婚にほとんど意味がないといって、いつまでも同棲しているカップルも沢山います。彼らを見ていると、それはよく分かります。

は結婚してデンマークに来ましたが、今のところ結婚ビザ申請中で就労することができません。そんな私を、パートナーが無条件に人生の共同所有者として迎えてくれているか?どちらかというと「僕の家に(ただで)住んでいていいよ」「僕の車を(ただで)使っていいよ」というスタンスなのではないか、と時々感じます。経済的な厄介者とまではいかないものの、ある程度「所有と負担」をともに担うまで、私に自立の責任があるのだろうなと考えています。

なると「男女同権」も厄介なものです。女性としての「既得権益」をうまく使いこなしつつ、うまく男性社会の牙城を切り崩す、くらいがちょうどよいのではないでしょうか。完全にデンマークのように「男女同権」になってしまうと、女性も働いて収入を得なければならない、いやはや実際、大変なことなのです。