大学院留学の思い出

繁にブログを更新するのも、自宅待機で暇すぎるからです。やることはいっぱいあるはずなのに、やる気も起きない。外出して気分転換したいのに、散歩くらいしか出れない。私のように鬱屈した気分の方は他にも多くいらっしゃると思います。皆さん、どのように時間を過ごしているのでしょう。

うやく手を付けた、書類の片づけ。気乗りせずにダラダラとやっていたら、ふとコペンハーゲン大学院に留学していたときの成績表が出てきました。これまでブログで、留学についてほとんど書いたことがなかったので、少し触れてみたいと思います。

もそもコペンハーゲン大学院に留学する前は、日本で38歳までサラリーマンをしていました。なぜ、突然留学を思い立ったか、自分でもよく覚えていないのですが、どうせ受かりっこないだろうと思って受験書類を提出したのです。経済学専攻でしたので、その理論と実証分析を小論文にして提出せねばなりませんでした。かつて大学で経済学を勉強したのは、はるか昔のことです。何も覚えていないので、1冊マクロ経済の本を買って斜め読みして、適当に書いて出しました。ところがこれが受かってしまったのです。デンマークの教育機関はEU市民は無償ですが、Non-EU市民である私は年間10.000ユーロ、これを2年分払わねばなりません。当時、ユーロ高で日本円で260万円。やめようかな、と思案していたところ、デンマーク政府奨学金制度があることが分かり、それもどうせ駄目だろうと思いながら応募したところ、受かりました。このおかげで、学費1年分は免除、毎月お小遣いまでもらえることになりました。そうなると俄然、神様が背中をプッシュしてくれているような気がして、行くしかないぞという気分になりました。

ンマークに渡ったのは2009年8月。9月から始まる授業に備えて、丸一日、学校内を紹介してもらったり、他の留学生に会ったり、教授陣に直接話を聞かせてもらったりする自由なオープン・ハウスがありました。その時、私は一目散にマクロ経済の担当助教授に会いにいきました。文句をいうためです。というのは、デンマーク以外の国で学位を取得した留学生は、修士課程においても学部の授業を3科目(マクロ経済、ミクロ経済、計量経済)を義務的に履修せねばならなかったのですが、私はそれに承服しなかったのです。先生に「なぜですか?私はれっきとした日本で大学卒業の学位を持っています。説明してください。」

生は少しもひるまず、ちらりと私を見てから、「あのねー、君のね、大学の学位取得した科目ね、ソフトすぎるんだよねー」。「ソフトぅ?!」なんだとぅ?!

生はさらに、言いました。「例えば、君の卒業証明見るとね。計量経済取ってないでしょ?」。はい、大学は楽勝科目の履修のみですので、計量経済など取るわけがございません。先生は、学部生が使う計量経済の教科書(英語)を私に見せながら、「例えば、これ、分かる?こことか、分かる?」と聞いてきます。私はそんなの分かる訳がありません。なのに、私の強気の答えは「英語で書かれてるから、ピントこない。けど、やればすぐ思い出す。」

の私の根拠なき自信が崩れ去るのに、さして時間はかかりませんでした。デンマークの経済学部ではバリバリ数理系が必須科目になっています。それに比べ、私の通った慶應大学では数学の受験なしでも入学でき、ほとんど数学をせずに卒業できたのです。9月から始まった新学期が一息つく、「じゃがいも休暇」は10月半ば。私は、この間に、死にもの狂いで基礎的な数学をやり直さねばなりませんでした。計量経済はもとより、微分積分や連鎖公式、行列すら、何から何まで怪しげな私。こんな私をクラスメートは根気強く、面倒見てくれました。日本から来た、変なおばさんががんばっているから、何とかしてあげようと思ったのでしょう。

て、2年間のコペンハーゲン大学院で履修した科目を簡単にご紹介します。修士課程修了には120単位必要で、そのうち30単位は卒業論文です。それ以外の科目は7.5から10単位。学部科目のマクロ、ミクロ、計量経済の他、9科目取りました。すべて英語での授業です。

  • マクロ経済(上級)
  • EU経済
  • マクロ・ファイナンス
  • マクロ計量経済 1・2(上級)
  • アントレプレナーシップ
  • ゼミ小論文
  • ゼミ(成長理論)
  • ゼミ(共和分分析)

学を検討していたときは、デンマークの福祉政策やサステナビリティについて勉強しようかと漠然と考えていたのに、最終的にはまったく異なるハードコアな世界にどっぷり浸かってしまいました。先生が日本の学部科目を「ソフト」といった理由が分かりました。と同時に、多重解析や共和分を使った統計学にすっかり魅せられてしまって、最後のほうは時系列データばかりに囲まれて過ごしていたくらいです。これには、学術的な理由の他に、不純な動機も含まれています。計量経済の先生がかっこよかったのです。身長180cm、長いヒッピー風の髪をかき上げながら、いつも白いシャツにジーパン姿の先生、御年39歳(当時)、Heino Born Nielsen。そうです、この先生こそが、実はオープン・ハウスの日、私が喰ってかかった先生でした。因縁ですが、私は卒業論文の指導教授を、先生にお願いしました。当時、先生は若手気鋭の助教授で、校内のBest Professor賞を毎年のように受賞していましたが、2018年から教授になりました。そのニュースを知ったのは、私がボーンホルム島に来てから。島のローカル新聞に大きく写真入りで紹介されていました。驚いたことに、先生はボーンホルム島の出身だったのです。

2009年から2011年にかけて、あれほど一生懸命、勉学に励んだのに、すっかり学んだことは忘れてしまいました。いつか機会があったら、先生にまた会ってお話しがしたいものです。

 

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