デンマークのコロナ状況

ンマークで最初の感染者が発覚したのは2月27日のことでした。私は冬休みの真っ最中。当時、すでにイタリアでは相当数が感染していたので、私は冬休みにイタリアにスキーに出掛ける人々を牽制した方がいいのではないか、と思っていた矢先でした。

の感染者はそれからまもなくの3月5日に回復したという報道があり、この時点ではデンマークでも危機感は高くありませんでした(3月5日時点での感染者は19人)。それが指数関数的な増加を示すのは3月9日からです。一気に9日90人、10日262人、11日514人と増加しました。これを受けて、首相であるMette Frederiksenは3月11日に「学校の閉鎖、公務員の自宅待機」を決定しました。私の学校は翌日3月12日から閉鎖され、それ以降ずっと自宅にいます。デンマークの3月25日現在の感染者は1,724人、死亡者は34人です。なぜか回復者は最初の例を除いてゼロです。

その後、政府は矢継ぎ早に、国境封鎖、海外渡航禁止などの施策を打ち出していますが、その度に、デンマーク日本大使館がメールで緊急連絡をしてくれます。

王様が国民に向けて特別演説を行ったのは3月17日。その時すでに、ご自身の80歳の誕生日式典(4月16日)をキャンセルすると公表していた女王様は、毅然とした態度で、「この急に及んで、待機要請にも関わらず、不要の外出やパーティをすることは思慮にかけ、配慮にかけると言わざるを得ない」と厳しく批難し、「手を洗うこと、人との接触を避けること、家にとどまること」の重要性を強調しました。今から思うと、女王様の行動はとても素早かったことになります。

 

宅待機になってから、私自身の生活はほとんど外の社会と遮断されているため、何が起こっているか、正直なところよく分かりません。デンマークのテレビ報道よりも、BBCとFinancial Timesを主な情報源にしているので、デンマークの様子や詳しい施策は分かっていないのが正直なところです。

ーンホルム島においても、私の行動範囲といえば、散歩に出かけるか、近所のスーパーまで車で週2-3日買い物に出かける程度。その間、ほとんど人に会うことはありません。ただ、スーパーにはレジに1m置きにテープが張られ、各人が1m以上離れるようになっており、入り口には消毒液が置かれています。スーパーでは、パスタやジャガイモなどが時折品切れになることはありますが、それほどのパニックもなく、トイレットペーパーや石鹸は常備されています。

ジオのニュースでは、家族も家の中で極力接触を避けるよう、呼びかけられています。キスしたり、ハグしたりするのは止めるようにとも言っていました。医療や介護の現場で、消毒液やマスク、使い捨て手袋が不足が深刻化しているようです。デンマークで国内生産を急いでいるとのことでした。2日前には、中国のアリババのJack Ma氏がデンマークにもマスク(50万枚)、防疫服(5千着)を寄付してくれることになりました。

デンマークでは、もともとマスク着用の慣習がないばかりか、むしろマスクはテロリストの活動を助長するとして着用が禁止されているほどです。現在の政府の見解では、マスクにはウィルス感染を防ぐ根拠に欠けるとされています。ですから、工事用の防塵マスクを除いて、風邪用のマスクなどは購入できません。

んな中、3月24日に母から小包が届きました。3月19日に発送されているので、5日間で届いたことになります。これまで届いた国際郵便の中で最速です。この状況下で届かないかと思っていたので、驚きました。中を開けてみると、マスクが10枚入っていました。日本でも、マスクの入手は難しいと聞きました。母がなけなしのマスクを私に分けてくれたことに、とても感激しました。

後のことは誰にも分かりません。デンマークでの自宅待機は当初2週間の予定でしたが、先日延期が決定されました。私の学校は4月13日まで閉鎖が続きます。一日も早く、世界中でコロナによる感染が収束することを願わずにはいられません。

 

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介護ヘルパー養成学校について

ょっと真面目な話を。

は今年の1月からデンマークの介護ヘルパー養成学校に通っています。デンマークの介護ヘルパーさんは二種類あって、ヘルパーとアシスタントに分かれます。どちらも、訪問介護もしくは介護老人ホームでの仕事に変わりはありませんが、アシスタント(Social- og sundhedsassistent)のほうが、より看護婦さんに近い職務になり、薬や看護の知識が必要になります。資格を取るためには、どちらも学校に通わねばなりません。ヘルパーの場合は約2年、アシスタントの場合は約3年半かかります。

はアシスタントのコースを取っています。コースの内容は、「理論」(座学)と「実習」からなっています。現在の私が通っているコースは「基本科」と呼ばれ、ヘルパー、アシスタント共に一緒に授業を受けています。基本科の理論科目は①基礎知識、②科学、③デンマーク語、④英語からなり、基礎知識は必須ですが、それ以外はそれぞれ生徒の学歴によって異なります。私は英語は免除されましたが、それ以外をすべて受けています。授業はすべてデンマーク語で実施されますし、生徒(現在38名)のほとんどはデンマーク人なので、かなり言語で不自由します。それぞれの科目の詳細はまた、別途ブログで書きたいと思います。

基本科は6月半ばで終了し、その後はヘルパー、アシスタントに分かれて「本科」が始まります。本科のカリキュラムはまだ分からないのですが、主に薬剤と精神疾患の理論が加わるようです。

習はコースの大半を占め、訪問介護、老人ホームでの実習の他、病院、精神科など多岐に渡ります。同じところで3か月から半年ほど実習するため、生徒にも担当が割り当てられ、実習後には合否の評価が下されます。

「基本科」の実習は3月16日から始まり、私は訪問介護に出かける予定でした。ところが、その数日前にコロナの国内感染が認められ、たちまちキャンセルになってしまいました。今は、自宅待機で学校からの宿題を毎日、粛々とこなしています。

護システムは国による法律(ServicelovenとSundhedsloven)の定めで決まっています。ただし、運用はそれぞれの行政区に任されているため、私の場合ボーンホルム島の役所のルールに従っています。ボーンホルム島では、ここ数年、介護職員不足に対応するため、養成学校の生徒を公務員として正規雇用しています。つまり、給料が出ます。金額は書きませんが、一人の衣食住に足る金額です。ただし、このプロジェクトも期間限定だったようで、恩恵を受けるのは私たちが最後となるそうです。これは本当にラッキーでした。というのも、この就労は私が「永住権」を取得するのに必要な「正規雇用、フルタイム、最低年収」をクリヤーするからです。「永住権」に必要な「4年間連続の勤務」を満たすには、3年半の学業の後、あと半年働く必要がありますが、その時は、介護アシスタントとして、すぐに仕事が見つかることを祈るのみです。

 

スヌーピーの名は?

ンマークにいると、ときどき奇妙なことに気づきます。国際的なキャラクターの名前がなぜだか、デンマーク語風に改名されているのです。例えば、スヌーピーはNuser。スヌーピーの友達のウッドペッカーはSøren Spætte。

マのプーさんはPeter Plys。

おサルのジョージはPeter Pedal。

ミッキーマウスはMikkel Musで、ドナルドダックはAndersen And。もっともデンマークではミッキーはどちらかというと脇役で、ドナルドダックが小冊子の題名にもなっています。

ンマーク人の友達に、「じゃあ、トム・ハンクスは?」と聞いたら、「トム・ハンクスはトム・ハンクス」だそうです。

面白かったので、他にも調べてみました。ピーターパンはPeter Panです。シンデレラはAskepotです。カンフーパンダのポーはPoです。

ころで全然、関係ありませんが、猿はAbeで日本の阿部首相もAbeです。

 

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冬のおしっこ禁止

は、夏はツーリストで賑わいます。そして冬は閑散とします。冬になると、お土産屋さんはおろか、レストランもカフェも、店じまい。下手をすると町全体がしーんとしてしまうくらいです。

たがって、海岸近くにある公衆トイレも冬は休みです。

れを見た、コペンハーゲンから来た私の友人が「冬のおしっこ (vintertisse)、禁止なんだな」。

の役所の人は、冬でもツーリストを呼び込もうと一生懸命。それなら、まずトイレくらい年中無休にしたら、と思うのは私だけではないはずなんですが。

 

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散歩

-4日前から散歩を始めました。冬休みで、たまたま天気もよかったので、友達と近所を散歩してみたところ、これが予想外によかったのです。

き通るような青空。吹きぬける風。

までどうして、散歩しようとしなかったのか。不思議なくらいキラキラした世界が広がっていました。散歩道は気の向くまま。林を抜け、海岸沿いにポタリポタリと歩きます。こちらに曲がり、あちらに曲がり。その先に何が現れるのか、ちょっとわくわくしながら、細い道を行きます。

 

日は、ペダスカー村の小さな港にたどり着きました。

 

織物に手を出した

 

在、織物にはまっています。村にある織物クラブ(メンバー4名、平均年齢70歳)に入って、習っています。メンバーは隔週の火曜日の午後に集まって、4台の織り機でそれぞれ織っています。私は仕事があるので、年金生活者のように自由はききませんが、おばあさん達は時々、週末にも来て教えてくれます。

の最初の作品はいらなくなったシーツを裂いて織った敷き物。それが終わったので、今はアルパカの毛糸で織っています。クッションカバーにするつもりです。

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馬を飼う理由

近所の馬

めて島で迎える夏。

の至るところで馬を飼っている理由が分かりました。それは、草刈り。夏が来ると、草が生える。草は放っておくとボーボーになるほど、勢いよく生えます。そこに馬がいる。そうすると、草を食べてくれるわけです。つまり、自然の草刈機。

の家にあるポンコツの草刈機は壊れ、義理のお姉さんから借りた手押し式で何とか草は刈っているものの、草は容赦なく生えてきます。「こりゃあ、手押し式じゃ無理だよ」と友人ケルが言います。解決策は二つ。「運転式のトラクター草刈機を買う」か「羊を飼うか」。

ルの家にはポニーが3頭います。それが草を食べてくれるので「だいぶ楽だ」そうです。「そのポニー、貸してよ」とお願いしましたが、馬の移動に必要な車両がありません。どこか草を食べてくれる動物を貸してくれるところはないものか。

は運転しながら、馬を見つけると「うま!」または「Hest(馬)!」と叫ぶことにしています。特に意味はありません。運転中の暇つぶしになるほど馬がいるからです。ついこの前は、バスに乗っていて馬を見つけ、普段の調子で「うま!」と叫びそうになってしまいました。

 

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アルパカの紡ぎ心地

ルパカの毛が手に入ってから、すぐに試しに紡いでみました。アルパカの毛は、羊毛より柔らかで軽く、暖かいことは知っていましたが、さらに驚くべき点が多々ありました。

1.梳かなくていい:すでにカーダーをかけてあるかのように一本一本がまっすぐな繊維です。つまり、羊毛のように、いちいち梳かさないでいいのです。

2.洗わなくていい:これは飼い主のハンスさんによるところが大きいのかもしれませんが、とにかくきれい。脂分もまったくないので、私は洗わずに紡ぐことにしました。

3.臭わない:羊毛には独特の匂いがありますが、アルパカは無臭です。

4.毛が長い:毛の長さは紡ぎやすさにつながります。長いほうが紡ぎは楽ですし、スピードを上げてどんどん紡げます。

まり羊毛に比べて、話が早い。昨日毛刈りをして、今日すでに1.5玉紡げました。

もう紡げた

ぎの種類は大きく分けると、梳毛糸と紡毛糸になります。分かりにくいのですが、絵にするとこんな感じです。

っくり言ってしまうと、梳毛糸はピリっとした直線系、紡毛糸はボワンとした丸系。梳毛糸は横並びの繊維をそのまま直線的に絡めて撚りをかけるのに対し、紡毛糸は指に丸めて持った繊維を中から引き出しながら互いに絡めつつ撚りをかけます。それぞれ特徴があって、どちらがいいということはないのですが、技術的には紡毛糸のほうが難しいです。そして、紡毛糸のほうが多く空気を含むので暖かく、軽い糸に仕上がります。なにより、紡毛糸の利点は「どんな原毛でも紡げる」という点にあります。

は紡ぎを東京・吉祥寺にある世界の獣毛アナンダで習いました。紡ぎのことなら何でもお任せのユニークなこのお店のモットーが「どんな原毛でも紡げるようにする」。お店には多種多様な羊毛の他、絹、カシミア、ラクダ、麻などいろいろな原毛が売っています。私は練習の時に、ラクダを紡がせてもらった記憶があり、それを頼りに今回アルパカを紡いでみました。おもしろいくらい、どんどん紡げます。紡毛糸です。

「ひつじ愛好会」の紡ぎ組・組長アンさんは「アルパカは毛がすべすべしているから、紡ぎにくい」と言っていました。それは恐らく、彼女は梳毛糸で紡いでいるからではないか、と思います。梳毛糸だと繊維が直線的に流れていくので、羊毛のように絡みやすい繊維だと問題なくても、アルパカや絹のような繊維はスルッと糸車に吸い取られてしまうのです。その点、紡毛糸だとアルパカでもあまり問題がありませんでした。無精な私は右手をゴミ袋に突っ込んだまま、糸をどんどん継ぎ足して、紡いでしまったくらいです(羊毛でこれをやると、ゴミ袋の中の羊毛がどんどん絡みついてしまうでしょう)。

糸は単糸(一本撚り)のままでも使えますが、たいがいの毛糸がそうであるように、複数本を撚り合わるのが一般的です。そのためには、最低3つのボビンが必要になります。単糸をボビン2つ分紡ぎ、その後で、3つ目のボビンで撚り合わせていくという作業が発生するからです。私はこれまでボビンを一つしか持っていなかったので、撚り合わせの作業がかなり困難でした。

の問題は先日の「テキスタイル展覧会」で解消されました。織りの名人インゲさんが持っているボビンのうち2つが私の糸車のサイズにぴったりで、それをくれたのです。「ええええ!そんなぁ。頂くなんて」と恐縮する私に、インゲさんは「いいのよ。私は8つも持ってるから」。旦那さんのスヴェンさんが木工をやるので、ボビンを作ってくれるのだそうです。ボビンが3つ手に入った私は、その日を境に猛烈な勢いで二本撚りをやっています。

二本撚れました

 

ルパカは紡ぎやすいわ、二本撚りは簡単だわで、どんどん量産できます。紡ぎ終わったら、最後は糸巻き器でくるくる巻き取って、毛糸玉のできあがりです。

 

 

 

稚園で「い~と~巻き巻き、い~と~巻き巻き、引いて引いてトントントン」という歌を習ったときは、意味が分かりませんでしたが、この歌こそ糸紡ぎなのです。引いて引いて、というのは毛に撚りをかけるつつ繊維を手で伸ばしてどんどん引いていく様、トントントンは糸車がコトコトいいながら糸を巻き取る様子を歌っているんだと思います。私の名前がマキだったので、当時、この歌でよくからかわれました。思えばあの頃から、私は糸紡ぎとご縁があったわけです。

毛糸になったSkum Fidus第1号は何か小物を編んでハンスにプレゼントしようと思います。

 

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島とビールと仲間

前中にハンスの家でアルパカの毛刈りを終えたあと、私は島の北部Tejnにあるビールバーを訪ねました。そこでまたハンスと会うことになっています。実は、ハンスは島のビール愛好会の会長さんでもあるのです。Tejnにあるビールバー「Penyllan」は伝説的なビールマイスターであるクリスチャンとその奥様ジェシカが新しくオープンしたバーです。ジェシカはオーストラリア人。私にとってビールの神様と女王様のような二人ですが、これまで移住の悩みの相談などいろいろお世話になっています。

クリスチャンとジェシカ。神様と女王様

Tejn港

Tejnは古い港町。昔はニシン漁で栄えましたが、今は殺伐としています。そこをクリスチャンとジェシカが大々的にモダンな空間へと変革中。これまでも同じ場所に彼らの醸造所はありましたが、2019年6月1日、正式にバーPenyllanの誕生となりました。

楽あり、グルメ・ホットドックあり。来客者全員に最初の1杯目は無料ビールという大盤振る舞いで、大変な賑わいです。 2時からの開店で、私は12時45分にバスに乗りました。バスを乗り継いで、やっとたどり着き、急いで一杯目。おいしい!バスは2時間に1本しかありません。次のバスはやり過ごして、5時のバスで帰るつもりです。何杯飲めるかな。

ンスはすでに赤ら顔。お嬢さんと義理の息子さんと飲んでいます。義理の息子さんが運転手だそうです。他にも島の「ビール愛好会」のメンバーが何人も。島に125人メンバーがいるそうです。9月に島一周、ビールツアーの企画があるから、私も入会しろと皆が言います。ツアーではバスを貸し切って、それぞれの家でピックアップ、島にある醸造所を3か所周り、飲んで食べて、またそれぞれを家まで送り届けてくれるという夢のツアー!コペンハーゲンのビール友達も見つけて、これからどうやってホテルまで帰るんだと聞くと、「いやさ、内緒だけど、この裏にテント張ってあって、そこで寝る」。キャンプ場以外での野宿は禁止なので、一応内緒です。早く言ってくれれば、私もテント泊したのに!

のもう一つの醸造所Small Batch Breweryのオーナー兼ビアマイスターであるアナスも登場。アナスは私のパートナーのよい友達。小さな醸造所でスタートしたころから知っています。今年5月に新しい資本家を迎え入れて、場所を移動、何もかもピカピカの中型醸造所へと変貌しました。アナスに「もう、ホースと氷で冷却するシステムはなくなったの?」と聞くと、「全自動だ!」と笑っていました。

Roxy バーボン・ビール12%

てさて。祭りはまだ続いていましたが、私はバスの時間です。最後にPenyllanのバーボン・ビールを飲んで、その心地よい後味と共に1時間15分の帰路につきます。ペダスカー村のバス停で降りると、そこから先は徒歩、約2km。広がる大空の下、よったらよったら、酔っ払いが歩きます。馬車が、醸造所を巡りながら、島を無料で一周してくれたらいいなぁ。そんなことをハンスとも話しました。いつか、叶うかもしれません。とりあえず、家に帰ったら島の「ビール愛好会」に入会です。

家路

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世界一幸せなアルパカ見つけた♥

で見つけたアルパカおじさん(本名はハンス)が、毛刈りに招待してくれました。ハンスはデンマーク人には珍しく、「ガハハおじさん」系。会った瞬間からこれは気が合いそうな気配!

内されて納屋に行ってみると、いるわいるわ、アルパカ。去年生まれたベイビーアルパカもいます。その可愛さたるや、もう言葉にならないくらいです。アルパカはみんな好奇心旺盛だそうで、すぐにこっちに寄ってきて鼻をすりつけて挨拶しようとしてきます。お眼目がまっすぐにこっちを見つめています。ひーん、可愛いよー。鳴き声も「ひーん、ひーん」とかすり鳴くような甘え声。家族愛がすごく強くて、賢く、ニュージーランドなどでは狼の警戒用に飼育されるのだそうです。なんで、そもそもハンスがアルパカを飼うに至ったかというと、「TVでニュージーランドで飼っているアルパカが放送されていて、それ見てあまりの可愛さに妻と決めた」んだそうです。とはいっても、ハンスの家には犬、小鳥、うさぎ、伝書鳩、鶏、馬が住む動物園。これに昔は留学生も受け入れていたというのですから、もはや、どんな動物であろうと、驚くに値しません。

日は3頭のアルパカの毛刈りです。私はそのうち半分を譲り受けることになっています。Nugat (茶色、8歳)とSkum Fidus(白、4歳)は毛刈りの経験あり。3頭目(2歳)は初めて。名前はハンスも奥さんも忘れちゃったそうです。毛を刈るのはプロ、島の北部にある羊毛家のポール・ヨァン。彼のところ(Nordvang)には、一度仕事がないか問合せをしたことがあって、私のことを覚えていました。島は狭いな。

Skum Fidusとアルパカご夫妻

NugatとSkum Fidusの毛刈りが始まります。電動のバリカンでポール・ヨァンが器用に毛を刈っていきます。アルパカは切なそうに「ひーん、ひーん」と鳴きますが、奥さんが優しく側で見守ってあげて「よしよし」と声を掛けています。みるみるうちに毛が刈り取られていきます。

驚いたことにアルパカの胴体のほとんどは毛。刈られた後は、鶏ガラみたいに細った体が出てきました。なんか別の動物みたいです。奥さんは髪型を気にしているようで、ポール・ヨァンに「ここ…ちょっと…切ってくれる?」。確かに髪型でアルパカの印象がまったく違ってきます。ぼさぼさのヒッピー風だったのが、かしこまったお坊ちゃま風に変貌しました。もう、何もかもがおかしくて、私は笑いが止まりません。毛を刈り終えたSkum Fidusがこちら。ひょろーっとして、ちょっと病気みたいに見えます。私は側でゲラゲラ笑っています。毛刈りを終えて、家族の元へ戻ると、心配していた皆が寄ってきて、鼻をスリスリ。まるで「お帰りー。大丈夫だった?」とでも話しているようです。

て、お次は今回の毛刈りが初めてとなる名無し君。もう最初から怖がって、尻込みしています。なかなか床屋さんに行こうとしません。ひーんひーん。ハンスが無理やり引っ張ると後ろ足でパカリと蹴りを入れてくる始末。毛刈りをしている間、足腰が立たないくらいおびえてしまって、へたり込んでいます。これにはポール・ヨァンも閉口しています。ひーんひーん。首をフリフリ、目で必死に訴えてきます。そのうち、唾をぺっぺっと吐きだしました。これはアルパカの攻撃術です。その唾がとてつもなく臭いからです。首はフル、唾は吐く。ハンス、ポール・ヨァンだけでなく、奥さんも私も唾にまみれます。私はおかしくてたまらずまだゲラゲラ笑っています。ひーん、ひーん。ぺっぺっ。ひーん、ひーん。ぺっぺっ。3人掛かりでなんとか取り押さえ、名無し君の毛刈りも終わりました。扉を開くと、一目散に家族の元に帰り、「ひーん、ひーん」。何とも愛くるしい姿です。それからハンスは一家を納屋から出してあげました。広がるのは大きな大きな庭。アルパカ一家が出てくると、馬が駆け寄ってきます。「あいつはね、アルパカと友達なんだよ。何で自分はアルパカとちょっと違うんだろうなって、思ってるけどね」。こんな幸せなアルパカが世の中にいるでしょうか。ハンスと奥さんの大きな愛に育まれ、ボーンホルム島の青い空の下、家族で仲良く暮らしています。ちなみにNugat、Skum Fidusの他、Moccaがいます。ヌガーとモカはチョコレート色なのでチョコレートの名前です。Skum Fidusはデンマーク語でマシュマロの意味です。これは白いからです。