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中学校で疑似・国政選挙

ンマークは今年は4年に一度の総選挙に当たります。国会は一つの院しかないので、すべての議席が選挙の対象となります。まだ選挙日程は公示されていませんが、すでに選挙ムードも高まりつつあります。最大の争点は「医療制度の改革」です。

挙権は18歳から与えられます。デンマークでは、しっかりした若い選挙民を育てるために、国民学校の7年生から10年生(日本では中学校に相当)で疑似の国政選挙をやる授業があります。義務ではないそうですが、全国で160校を超える学校が参加を表明、8万人の生徒が対象になります。今回で3回目の試みだそうです。

の疑似選挙は「Skolevalg」(学校選挙)と呼ばれます。もちろん、選挙結果に法的拘束力はありませんが、首相が選挙の告示(2019年1月13日)を行い、選挙は1月31日に実施、同日に開票結果が国会で発表されます。国会と文科省がサポートしていて、参加要領ならぬ教育指導書もきちんとあります。

「学校選挙」の告示(DR ニュースより

の授業がユニークなのは、3週間もかけて、本格的に実践的に「民主主義」を体得させるカリキュラムが組まれていること。生徒たちは、まず最初の1週間に、現在デンマークが抱える24つの課題について検討し、その中から自分がもっとも重要だと思う3つを選択します。次の週は、実際にその課題について、自ら選挙キャンペーンを打ち、周りの有権者に訴えかけます。ソーシャルメディアを使うもよし、ディベートをするもよし。そのキャンペーンの効果はポイントで競われます。最後の週は、どの政党に投票するか決めるための時間です。

24つの課題は、大人も熟慮すべき政治課題です。大きく分けると、税制、外交・国際関係、犯罪、社会福祉・医療、若者・教育。

具体的には「最高税率引き下げ」、「DR(公共放送)の民営化」「防衛費拡大」「たばこ増税」「移民の受入れ」。子供らしいなと笑ってしまうのは「宿題のない学校」「授業時間の削減」。逆に、こんなことも、と考えさせられるのが「大麻の解禁」「売買春の禁止」「安楽死の是非」。デンマークらしい争点は「学生に与えられる無償手当の制限」「学生でいられる期間の無制限化」など。

は、デンマークの「青ブロック」(右派)と「赤ブロック」(左派)の違いもよく分かっていなかったくらいなので、絶好のお勉強のチャンスです。「青」は現連立政権でリベラル/保守。「赤」は社会主義。デンマークのリベラル派ですら、アメリカから見たら超社会主義ですから、極めて狭い範囲でのスタンスの違いということになります。私は、デンマークのリベラル派がちょうど日本モデルに合致しているのではないかと思っています。なお、Skolevalgのホームページに、自分の意見に最も近い政党が分かるテストがあります。15問の質問に対し、自分がどう思うかを評価するだけの簡単なもので、やってみたら私は「青ブロックの左党」と出ました。

の学校選挙は、基本的に「社会」の授業に用いられますが、「デンマーク語」の授業で取り扱ってもいいことになっています。なぜ学校に通って勉強するかというと、詰まるところ、選挙民としてきちんと一票を投じることができる大人になるため、という気がしてきました。大衆迎合的な政治がはこびったり、党離党脈に翻弄されたり、若者が政治に無関心になったり、そもそもの原因は我々、選挙民にあるのかもしれません。私が見る限り、デンマーク人は政治にとても関心があります。大概、彼らは自分の意見を持っていて、議論することをいとわず、自分の一票が社会の基盤であると感じています。何から何まで議論することが好きなデンマーク人に、時折うんざりすることもありますが、お互いの意見が違っていてもいいこの国では、気持ちよく自分の言いたいことが言えるのです。

 

 

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