糸紡ぎのあれこれ。

晴れの日曜日。糸車を庭に出して紡いでみました。少し風は冷たいけれど、日差しがキラキラとまぶしく、シャツの袖を折り上げて作業に臨みます。

こっこっこっと刻む糸車の音に合わせて、裏の林からキツツキの音も聞こえてきます。

ブラックノーズ

 

 

紡ぎのスタートとなる羊毛は近所の人にもらったブラックノーズ。段ボールいっぱいあります。

羊毛

 

れは毛刈りしたままの状態なので、洗ってもいいのですが、私は洗いません。面倒くさいのも理由の一つですが、油分を生かして紡ぎたいからでもあります。羊の脂にはグリセリンがたっぷり含まれていて、ニュージーランドの羊毛家の男性の手は皆、すべすべと聞いたことがあります。

毛束

の羊毛の塊から、少しづつ毛束に分けていきます。最初はどこから手を付けたらよいか、途方にくれますが、慣れると毛の流れがわかってきます。毛の生え際から先端までをきれいに取り出します。東京では紡ぎ車と世界の原毛アナンダというお店で羊毛の塊が買えます。年に何度か、羊の個体まるごとの羊毛を販売するそうですが、「一頭買いしたい」というお客さんが殺到するらしいです。マニアになると「どの部分の羊毛を何に使うか」といったことまで考えながら紡ぐのだそうです。私はその辺は無頓着です。

カーダー

束はもしゃもしゃしていて、脂も付いているのでそのままでは紡げません。カーダーという針金のブラシで毛並みを梳かしていきます。この作業が実は一番、大変。カーダー掛けにはいろいろなやり方がありますが、私は膝に皮を敷き、毛束をその上で叩きながら梳かします。

梳かしているところ

かし終わると羊毛が一本一本透けて見えます。この状態で羊毛を購入することもできます。フェルト細工などをするときもこのような羊毛から作ります。

梳かし終わったところ

 

 

 

 

 

紡ぐ

とは紡ぎです。毛束を指に掛けて、糸を繋いでゆきます。足で車の踏み板をこっこっこっと回すと、滑車を伝ってボビンがグルグル回ります。と同時に、糸に撚りがかかります。その撚りを利用しながら、毛束から糸を紡ぎ出します。この作業は、本当に不思議ですが、まるで糸が生きているかのようです。この小さな毛束から糸が80㎝くらい取れます。私が常々、糸車はすごいなあと思うのは、滑車の力が糸をボビンに絡めとる求心力にもなるところです。電気もなく人力だけで作動する、複雑な仕組みの機械をよく発明したものです。

かも、大したことがない限り、糸車は壊れません。かつて、私が東京に住んでいたとき、パートナーが糸車を飛行機で持ってきてくれたことがありました。解体してブランケットに包み、スポーツバッグに入れてチェックイン。成田の入国時に「これは何だ?」と聞かれ「糸車なんです」と答えたものの、相手によく分かってもらえず、取り上げられてしまうのでないかと冷や汗かいたそうです。

糸になりました

いだ糸は2本さらに撚り合わせます。そうすると俄然、毛糸らしくなります。そのときはボビンを2個使います。だけど、私はボビンを1個しか持っていません。私の糸車は中古で、メーカー品でないので、備え付けのボビン1個しか手元にないのです。仕方がないので、いったんボビンから巻き取って、長い糸束にしておきます。

いちいち手間がかかります。だけど、ここから更に染めたりすることを思えば、長い毛糸の旅はまだ始まったばかりです。

保管中

糸玉ができるまでにはあと二つ機器を用います。「サザエさん」が毛糸の糸束をマスオさんの両手に掛けて、玉巻きしている姿がよく登場しますが、あれと同じ作業をここでもやるのです。私もパートナーや椅子を使って、トイレットペーパーの芯に巻き取ったりしていましたが、昨年のクリスマスに「マスオさんの両手代わり」をプレゼントしてくれました。パートナーが得意げに中古マーケットで見つけてきた、アンティークで、1.3mほど高さのある木製の機器です。あとは玉巻きを自動化のみが残ります。今のところ、まだトイレットペーパーの芯です。

 

年のクリスマスのプレゼントも、もう決まってきます。革製のエプロンです。これは私もまったく予想しなかったところから、彼が見つけてきました。ペダスカー村が誇る世界の皮ブランド「Broe & Co.」。熟練の職人のおじさんがすべて手作りのこだわりのショップです。数年前、ペダスカー村の空き家にお店を開きました。いつもお客さんが来てきて、日本とも16年来の取引があるそうです。皮もこだわりで、サンダルやベルト、カバンがとっても素敵です。そこのエプロンを私に。羊毛のカーダー掛けのとき、使ったら完璧です。

えば、糸車もパートナーが中古マーケットで見つけて買ってくれました。義理のお兄さんに羊(ゴットランド)を飼うように説得してくれたのも彼でした。そもそも、私が糸紡ぎをするように仕向けたのは、彼だったのかもしれません。彼は編み物や糸紡ぎには興味を示しませんが、織り物はしたいと思っているようです。敷物を織りたいそうです。ほぼ毎日、中古マーケットで掘り出し物を探しているパートナー。「いい織り機を見つけたよ。取りに行こう!」と言い出す日が近いような気がします。